平安時代の歴史の根拠を追うと、どうしても文献に頼ることになる。
たとえば、藤原成親の流刑地が田之浦(の東の入り江、清兵衛畑)。
この根拠は、平家物語になる。
平家物語には、藤原成親卿の流刑→殺害の流れについて、けっこうな文章量が割かれています。
この中では、田之浦と思われる集落は「田井の浦」とあります。
ちなみに、鹿谷の謀議の流刑地としては、藤原成親卿、比較的楽なところへ流されています。
僧・俊寛は鬼界島なんていう、当時としては「あの世送り」に等しい流刑であったのです。
これについては、藤原成親卿、当初はなんと、琉球に流される予定だったのですが、政治的な助け舟があって、そこまで流されなかったようですな。
でも、平清盛にとっては、反勢力(貴族)の中心人物。
ならばわれらが知行地に閉じ込める、と、田井の浦を選んだ模様です。
田井、といえば、玉野市の田井じゃないの、という説に、山本慶一氏は、その可能性はゼロではない、としながらも、こう結論しました。
この文の詞書きに、「児島のうち下津井という所をば通生の庄という」という部分があり、これが玉野市田井だと、三宅の庄とせねばならず、文脈がおかしくなる。
現在の本荘八幡宮のエリアが一つの「庄」であり、その中心地は、戦国時代までは、通生。
ちなみに、今、田之浦は新庄です。
「新庄」のエリアは、児島を一括で知行していた平家、あるいは源氏による、後付けの区画かもですが、平家後の源氏の守り神、八幡さまの存在からしか、当時の「庄」を推し量れないわしらは、ここまでの推測でとどめるほか、なさそうです。
新庄八幡宮エリアは、たぶん通生の庄からの「新しく分離した庄」なんだろう、という前提ですが。
赤崎の住民はともかく、下津井住民であるわしは、ここに異論は持ちませんなあ。
うん。庄に加えて、「流人屋敷」の別名を持つ清兵衛畑の存在で、田之浦が田井の浦なんだろう、と。
で、面倒くさいのは、どうやら藤原成親の流刑の役目を終えた田之浦を、平家、地名変更したのか。
源平合戦の時期になると、鷲羽山近辺を「備前壇ノ浦」と書いてる。
ひょっとしたら、田井の浦=田之浦、備前壇ノ浦=田之浦から、久須美鼻の、潮流危険海域、とも読めるのですが、田之浦住民であるわし、
「ああもう面倒な!」
と叫びつつ、資料をあさってました。
で、平安時代をひとしきりなぞって、今、わしが思うこと。
田之浦って、田井の浦+壇ノ浦…。
たいのうら、だんのうら、たいのうら、だんのうら、たのうら。
田之浦の地名って、面倒くさくなって、どっかの時代で、くっつけたでしょ?
ねえ。
だって、下津井人は、田之浦の町を
「たんな」
と言います。(田之浦もんも含めて)
「たんな」の「ん」が、壇ノ浦の「だん」の名残り、って気がするんですよ。
にほんブログ村
スポンサーサイト